まもなく焼き切れるフィラメントのような、そんな恋をしてみたい
手の届かないものばかりが欲しくなる、うまれついての病気です
君が流した星をひとつずつ集めて、暗い世界を飾っていこう
ただ願う、君の死が限りなく安らかなものだったらいいと
さよならと突き放すに惜しいから、また会おうと嘯いた
あなたがこぼしたものは全部ぼくに染み込んでいくよ
愛を説く獣と、喰い散らかしてばかりのプリンセス
思い出すのは、昭和53年のきみが死んだ夏ばかり
宇宙の種といっしょに埋めたぼくらの約束は今
あなたがくれたものだけを、食べていきたい
恋愛の仕方なんて誰も教えてくれなかった
ぼくの宇宙にきみだけの惑星を創造する
だからきみの思い出の中で生きていく
片翼でも意外にうまく飛べるものだ
あまりにも神々しい縊死に出合う
夜告げ魚の死を見てはいけない
左目から零れ落ちる糸で救う
あたためてからめしあがれ
悪夢のつづきをご所望か
蜂蜜漬けのダイキライ
傷口から這い出る棘
共犯はチェーザレ
天上の鈴が鳴る
碧い骨に恍惚
罪深き麗人
光芒の夜
水琴窟
嗤う


亡霊
眠る花
サイレン
微笑む罪人
八月の終着駅
グランギニョル
朝摘みの君に眩暈
雛罌粟に、けだもの
獰猛に侵食されている
銀河をたゆたう海月の旅
指先でなぞるおまえの淪落
きみに濡れ衣を着せてみたい
せめて祈ろうか、夜鷹のために
クラスメイトと春雷にさようなら
あなたはいつもさみしそうにわらう
こんな夜にばかり、月はやさしいから
スターフィッシュの群泳にまざって凱歌
綺麗に泣くことばかりを考えていたあの頃
あの枯れた花は、何の花だったんでしょうか
どうやら、きみの海は枯渇してしまったらしい
墜ちかけの月だけが、わたしたちを許してくれた
いつから天国のありかを忘れてしまったんだろうか
ひとりきりの箱舟は何処に向かっているのでしょうか
どうしようもなかったこの命に、名前をくれた君だから
手の届くものだけしか望まない、うまれついての病気です
幾千年も同じ場所であなたを待ち続けるだけの桜木になろう
せめて壊してしまう前に名前をください、僕らを繋いだこの夜に
月命日にはあなたが似合うとはにかんだ青い服を着ようと思います