僕の目蓋の裏には、美しい鱗がある
幼い頃の私は童話を読む度に、人魚姫のように泡になりたいと願っていた
あのね、貝の中には小さな海があってね、
記憶にない骨
ナイト・フィッシング
所詮、人魚姫になどなれはしないのだ(足に代わる美しい声すらないのに、)
茫洋とする感情
それは、ささやかな孤独
錆びたアクアリウムで、エンゼルフィッシュが目を閉じた
剥製になっても泣いている

おまえのように愚かでありたかった
とある心優しい鮫の恋
深い海の底の底に沈めておいたふたりだけの惑星
青の波頭
あれはきっとね、幾千もの涙たちの成れの果てなんだよ
月に群れる瞳
大嫌いだった潮騒がもう聴こえないことが、こんなにも恐ろしいなんてね
シーラカンスは泰然、眠らなければ夢も見ない
もう泳ぎ疲れたと嘆く魚たちについて
畢竟、僕らは死ぬまで孤独を見つめ続ける