あの樹は覚えているだろうか、果たされることの決してない、幼く愚かな、されど忘れ得ぬ約束を
微睡む花の如き浮生で御座いました
お前の足跡だけで、生きていける気がした
世界はきみが思っているほど優しくないように、ぼくが思うよりもずっと、美しいものなのかもしれない

それなら、僕はお前の悪夢を喰らう獏になろうか
春の宵はどうしたってこんなにも明るい
雪解け水になりたい
千年前に埋めたぼくらの記憶が展示される博物館で逢いましょう

スノウドロップス
静寂と午後三時の、その狭間で
息も出来ないほどのさくら色の風の中で、あなたは最後になんと云ったのだろう
枯れない花とタルトタタン

そうやって嘯く芽吹き
星屑の粉砂糖をふるっていただきましょ
ぼくを埋め尽くしていく薄紅色の砂漠
明日膨れ上がったこの世界が破れるというのなら、最後くらいはお前と過ごしてやってもいい

春になったら、僕のとっておきの秘密をあげよう