東京心中を企てる
共食い柘榴
メトロポリスと、僕のロージー
二等辺三角形の恋
かなしみといっしょに巡る希望的観測
結局、最後のさいごまで愛を模倣するのが精一杯だったけれど
ギンヤンマの夏に
群れる青に呑まれたまま
君の夜盲症に救われた
愛してると唱えてしまえば、きっと君は僕の前からいなくなる

私はつぐみ、鶫鳥(口を噤んで、本心はドールハウスに隠して、ね)
幼い頃の私はいつだって絵本の中で疎まれる怪物たちに同情していた
おとぎの国にも君はいない
救いたくて掬いたいのに、巣食えない
トートロジー(あなたはあなたであって、それ以上でも以下でもないの)
嫌われ羊飼いの沈黙
あなたを埋めた筈の木の下に
月を食べる虫の寓話をしてあげよう
告別する花葬行列
無重力の恋慕

世界の対角線上で泣いている君へ
さよならのキスならベレッタで
とびきり美味しい紅茶を淹れてあげよう、お嬢さん
いつだってお前の爪は甘い
故山の香
秘蜜(なんて甘美な香なの!)
欲情と依存まみれの行き過ぎた友情の顛末
死に損ないの逡巡(早くしろよ、あとが痞えてるんだ!)
私のハートをバターみたいに蕩かせて
時計塔にひっそり棲む悪魔の耳に、優しいキスをあげましょう

きみの嬌声は泣いているみたいにきこえる
それは腐った黄色のような私達の恋

アルストロメニズム
愛の匙加減なんて習っていないもの
君を弔う為の銀木犀
おちたスピカ
ひゃくまんかいしんだねこのゆめ
乱れた呼吸から滑り落ちる夜の名前
夜光列車

十六進数だって、その気になれば愛を囁く
その美しい羽の下に毒を隠し持つ蝶のようだね、まるで君は
ラヂオはいつだって僕らを繋いだ
嗚呼、春なんて来なければいいのに
震える朽唇
鵺の嗤う夕景
アーバンギャルドは暗躍する
例えば、明日世界が灰になったとしても
ただ青いだけのエンドロール
とろけるのはあなた

地球儀が呼吸を諦めたら、最初で最後のキスをしよう
贖罪する手にしては随分と淫らだね
憂鬱欠乏症
退屈で死んでしまった王様の話
サイレント・カーニバル
この世は境界線ばかりだから
花火のように消えてしまえるなら、伝えることが叶うだろうか
死神さんと鬼ごっこ
今となってすっかり煤けたロックンロールの慟哭
センチメートル・ジャーニー

そして、少年は月に還る
お粗末なカタストロフに華々しき幕引きを
孵化する
追伸、おまえにこの世で最も美しい冬を贈る
この恋が禁忌でなければ、きっとお前を愛したりはしなかった
人は何故、月を目指すのだろうか
破壊された哲学は難解な数式を嫌った
瓶詰めの少女
縫い目の見えない別れ際
徒花を愛でし不毛

どうやら君は凄腕のシリアルキラーらしい
鬱陶しい群青に突き落として、淪落
ハニィ、永遠なんて嘘っぱちさ
実験体13号はレム睡眠
もういっそ、剥製にでもなってしまえばいいのに
白昼夢をまどろむ深海魚
好きなように踊ればいいさ
芽吹く前に摘み取ってしまえばいいんだ
平行線上の、二人のアリア
瞼の上で滲んだ哀に

鏡越しに触れ合う指先
28時ちょうどのエマージェンシーコール
今宵、海鳴り、あなたと私、心中
嘘吐きドーリィの劇薬
恋ってのは37.5℃で融解するものだから
あらお上手、まるで腐れた野薔薇のような皮肉ね
とある孤独な旅人の華々しき有終
いつまでもテンペストは終わらない
花の心臓
ノンシュガー・メルティキッス

一身上の都合により、この恋は終わりました
シーツにまみれて、おまえがもがく
虚実の境目でひっそり息をする
申し訳ありませんが、そちらの心臓は非売品です
残冬の踊り子
僕の華やかなる処刑をそっと見守って、君はほっそりほくそ笑む
あじさい寺に行きませんか
君とスケープゴートの夏
天使だって嘘を吐く
それなら悪魔が愛を囁いてもいいじゃないか